ピンク・レディーは世界に通用するエンターテ イナーである。このことはこのサイトのinU.S.Aをご覧いただけばよくわかるであろう。
では、何故これほどまでに歌って踊れてお客を楽しませることの出来る PINKLADYは単なる昔の流行り物としてしか評価されないのであろうか?
ピンク・レディーのアメリカが長い間封印され、常にミリオンヒットのみの評 価しかなく彼女たちの素晴らしいアーティスト性が認められなかったのは何故だろ うか?
それは歌って踊るという彼女たち最大の武器があまりにも強すぎたこともある だろうし、ブームが去って人気が落ち目になったからとも思うが、以外なところに その原因はあるような気がする。
それは・・・バラード。
彼女たちの印象に残る曲の中にバラードの名曲がないことである。
そんな事いったってピンク・レディーは歌って踊るからピンク・レディーなの に・・・と思ってらっしゃるかも知れませんが、未だに歌手としてピンク・レ ディーが評価を得ないのはこれが最大の原因だと思う。歌を魅せる技は長けていても最後はやっぱり歌を聴かせる歌手が残るのである。
このことは以外と気が付かないが、かなり大きな要素のように思う。
かつてスーパースターとして名を連ねてきた歌手たちには(スーパー・・・ま でいかなくても、息の長い歌手)は必ずと いっていいほどバラードの名曲がある。それもヒット曲である。
あの松田聖子が単なるアイドルから脱したのは名曲「赤いスイトピー」がきっ かけであるし、ライバル百恵さんは「秋桜」「いい日旅立ち」がある。キャン ディーズにしても「哀愁のシンフォニー」「アン・ドウ・トロワ」などあくまでも聞かせる曲があるのに対しピンク・レディーはこれらがカイナシ状態。
80年代に入って数々のアイドルたちはこの手法を取り入れていた。僕のサイ トに河合奈保子さんのページもあるが彼女もアイドル絶頂期単なるアイドルポップ スにはさんであの竹内まりやを起用したスタンダード曲「けんかをやめて」をリリースしている。柏原芳恵にしても今も尚残っている「春なのに」がある。この ように日本人なんてバラードを歌えば歌手という認知の仕方をするのだ。いろんなタイプの曲、中でもバラード1曲入るだけでその歌手の力量が試され更に幅が 広がるのだ。
1979年、アメリカ進出をかけて発売されたKiss in the darkはビルボードにチャートインするほどのヒットとなったが、これもディスコサウンドで踊りつき(当たり前ですが)その年の秋イメチェンをかけて発売 された「マンデー・モナリザ・クラブ」これも名曲ではあるが、踊って歌っているスタイルには変わりがない。ピンク・レディーが「波乗りパイレーツ」以降ベ スト10ヒットが出なくなり一気に下降線を辿ったのも曲のクオリティは上がっても歌って踊るスタイルから脱しなかったのも原因があるような気がする。視点 を変えることがPINKLADYには必要だったのかも知れません。カッコイイディスコサウンドも日本人の目から見たら、UFO、サウスポーらとなにも変わ らないのです。逆に動かないで歌うピンク・レディーが必要だったのかもと思います。
アメ リカのレギュラー番組では存分に歌を見せそしてたっぷり聴かせていたのにも関わらず日本ではその辺りを前面に押し出すことは出来なかった。これがいわゆる 敗因ということではないだろうか?
1曲バラードの名曲でヒット曲があればピンク・レディーのアーティストとし ての価値は充分に上がったであろう。
ラストシングル「OH!」はピンク・レディー最初で最後のバラードである が、あれだけ歌って踊っていた二人が何故最後だけ印象にないバラードなのか不思議 でしょうがない。色んなタイプの名曲がありラストがバラードならわかるが・・・。
そこでアルバムピンク・レディーinU.S.Aはそんなピンク・レディーの バランスがうまくとれたアルバムであるといえる。
メリハリというか起承転結がハッキリしているのだ。だから、本物のファンは (要するに二人の歌を聴きたいファン、)このアルバムが好きなのでしょう。
本当はハーモニーも抜群の二人だけにこのことは残念なひとつの要因である。
僕のサイトではその辺りをたくさん書いているが一般的に振りマネ先行ビジュ アル先行の評価はいたしかたないのかも知れません。
だからそれに付随(失礼!)するファンたちにしてもじっくり曲を聴くという よりもマネをする方が多いのもしょうがないでしょう。
歌の評価を先にするファンは一体どれだけいるのでしょうか?
アルバムなどにはわずかですがバラードの名曲があります。その辺りの曲を モット歌って欲しいなあと当時から思っていたのであります。

ミラノ・ローズ

通称銀箱(3枚組ベスト)収録の名曲「ミラ ノ・ローズ」
この曲はメモリアルコンサートVol3でも初めて披露され、聴かせるピンクをアピールしましたね。
このサイトのアンケートでもダントツ1位はこの「ミラノ・ローズ」である。
曲のクオリティからいってシングル曲として予定されていたのではないか?と思っ てしまうほど、完璧なコーラスを聞かせてくれる。上のコラムに1曲バラードでのヒットがあれば・・と書いているがこの曲こそそれに近い存在価値を示してい るのだ。
バラードといってもラストシングル「OH!」のように大そうではなくサラッと流れる雰囲気、耳につかない爽快さ、それはスタンダードになりうる可能性 を秘めているようである。イメージ的には季節感は夏。80年の夏辺りに発売されていたら・・・愛GIRIGIRIの次のシングルうたかたの前のシングル。 そ う考えるととてももったいないと思ってしまうのだが、そうするとあの「世界英雄史」はなかったかも知れない・・・それも恐ろしいことである。
 曲構成はミーのソロパートからポイントを二人でそしてケイのソロパートへその後、サビの部分で合流といった感じでデュオには多いパターンである。が大抵 の曲は二人のユニゾンか らスタートしていたので振り返って聴くと実に新鮮である。
夢見てた少女の肩を風がほら叩いてゆくサビのこの詞はその頃のふたり の回想録のようにもとれる。なんとなく景色が浮かんでくるような曲。それが名曲というものなのです。ミラノとタイトルにもあるように国内でないことは確か ですが、海外で活躍していたPinkLadyを安らげる土地ミラノを舞台にさわやかに歌い上げる。そのひとときがこの曲を通じて感じられるのである。間奏 のサックスの響きがどことなく淋しげに聞こえるが、それは爽快な中の淋しさ、あくまでも個性の強すぎない適度な個性。だからシングル候補だったのではない かなあと思うのである。
ミー、ケイひとりひとりの個性を融合させるのには非常に分りやすくそれでいてひとりひとりの色がしっかり出ている。これぞピンク・レディーが歌うべきバ ラードだという気がしてならない。あの頃は全て歌って踊っていたので間にこのようなスッキリしたバラードがあればピンク・レディーもまたひとつメリハリが ついたのではないだろうか?と思う。
ピンク・レディーファンのみならず多くの方に聴いていただきたいPinkLadyバラードの中の名曲である。

Give me your love

アメリカで発売されたアルバムの中でもっとも ピンク・レディーらしくなく、よりアメリカ的なバラード曲。
今まで本人たちの生の声で聴いたことが一度もなかった曲の1曲である。
05年復活コンサートのラスト・ツアーでこの曲は特別な曲として紹介された。
ファンの間ではもっとも人気の高いバラードなのではないだろうか?僕もこの曲を初めて聴いたとき、正直鳥肌がたった。15歳の春のことでした。
彼女らが、影響を多く受けたであろう、ダイアナ・ロスやスリーディグリーズなどともかぶってしまうブラック的なソウルフルな歌唱はピンク・レディーという 概念から逸脱した色を放つ。
ピアノではじまるイントロは今までピンク・レディーにはなかったパターンであり、このイントロを聴くとホイットニーニューストンやダイアナ・ロスなどを想 像させる。音域もピンク・レディーには丁度よく、中域主体のメロディラインをベースに抑揚を付けるアレンジはさすが!アメリカン!!よくある洋楽のスタン ダート的なサウンドと言った方がわかりやすいでしょう。
そして、お腹から全開で声を出すのではなくささやくようなウイスパーボイスが一層この曲の魅力に拍車をかける。
ハモリよりユニゾンの力強さを根底に日本人ながら魂を揺さぶるような歌い方は日本人のどなたの印象も覆してしまうものなのだと思う。
アルバムPINKLADY in U.S.Aの中で唯一、彼女らがじっくり聴かせてくれる、いわば踊らないPINKLADYの最高傑作だといえよう。
日本ではキャラクター的存在となったピンク・レディーだったが彼女らが世界デビューをしていなかったらこのような作品とは縁がなかったのだからその点がピ ンク・レディーが日本のどのアイドルよりもどのアーティストよりも魅力的な存在なのだということをこの曲を通して感じていただきたい1曲です。

貿易風

さあ、ピンク・レディーのバラードを聴こう! のコーナー3曲目のご紹介は・・・ピンク・レディー解散後ソロ歌手となったMIEちゃんの記念すべき1stアルバム「I MY MIE」からのセレクショ ンである。(もう、ソロなんかい!といった言葉が聞こえてきそうですが、別にネタ切れではありませんのでご了承のほどお願い致します^^デヘ)
無念の解散の後、ソロ歌手としてスタートを切ったMIEちゃんはあの山口百恵さんのブレーンをひっさげて最高のアルバムを僕らに届けてくれました。この頃のことはこちらに 掲載
このI MY MIEという超インパクト大のタイトルのこのアルバムは名曲も名曲!超名曲揃いのアルバムです。
ピンク・レディー時代から考えてもこれほどコンセプトがしっかりしていてなおかつバラエティ豊かな12曲もの名曲を収めたアルバムはありません。(VIVIDさ〜ん是非これをCD化してくださ〜い)
このアルバムには今回取り上げた貿易風のほかにシングル「ブラームスはロックがお好き」のカップリングToday'sMyBirthdayや AfterFiveFridayなどのバラード曲もありますが、ファンの間でも人気の高いこの曲に今回スポットを当ててみました。
貿易風はアルバムではいちばんのトリに収められている曲です。名曲「さよならの向こう側」的ゆったりしたMIEちゃんのこの頃の心境を見透かしたかのよう なバラードです。「さよならの向こう側」がエピローグならさしずめこの「貿易風」はプロローグとでも表現した方が分りやすいでしょうか?
解散後新たにスタートを切ったMIEの新たなる航海はここから始まるのです。とでもいう印象を受ける”泣ける”曲でしょう。
貿易風に吹かれて世界をまたにかける・・そんなBIGなシンガーに・・そんな想いを描いた名曲がこの曲なのです。
おごそかにピアノのソロ演奏がそのプロローグを演出しているようで、「昨日までの私に別れを告げて違う息をしたいと突然思い立つ」この最初の歌詞にこの曲 の全ての意味合いは込められているように思うのだが・・・
夢というものが人それぞれにあるでしょうが、この時のMIEちゃんの夢はピンク・レディー時代、やり残したアメリカでの仕事だったのではないでしょうか? それが「憧れのカリフォルニアサンセットビーチ」の歌詞に反映しているのではないでしょうか?
今でもこの曲を聴くと勇気を分けてもらえるような気が致します。あ・そうだ前向きなSTEPだ・そうそうこのページの関連はOH!STEP楽しい道だっ た。
以上、MIEちゃんの貿易風でした!

希望への旋律

今回も3枚組みベストからのセレクションで す。
ピンク・レディーのバラードの中でもこの曲は当時にしてみれば、皮肉な曲かも知れない。
解散前のピンク・レディーには希望のかけらも残されていない。そんな雰囲気すらあったのだから・・・
だからなおのこと切実に聴こえてしまう。
色んなことがあった中で、光明を見出す。それは、激動の時代を生きてきたからこそ説得力のある仕上がりなのだ。
ピンク・レディーの全ての曲の中でもメッセージ性が高く、例えばシングルリリースした「リメンバー(フェーム)」の日本語詞にもあるように、その時の (80年当時)ピンク・レディーのふたりの気持ちを代弁しているようにも思える。
美空ひばりさんでいえば、愛燦燦的な捕らえ方が的確かも知れません。
欲をいえば、ピンク・レディーの活動期間が後1年あったら解散宣言とともにこの曲のリリースもOKだったかも知れません。
1コーラス目の出だし「この荒れた海を逃れて私は静かな岸辺求め」と2コーラス目の頭「七色の虹を追いかけ私は旅した世界中でも、孤独だけがいつも無口な 友達」この歌詞にピンク・レディーとしての苦悩や努力を代弁しているようにも聴こえるのだが・・・。
以上のことから、ミラノ・ローズより壮大なイメージのこの曲はミラノ・ローズ同様シングル曲としても充分通用するように思う。
ラストシングル「OH!」はさわやかな仕上がりだが、この「希望への旋律」は珍しくケイの先行ソロパートから始まるが、それがなおさら曲のイメージを彷彿 させる効果を持っているように思う。が、ミラノ・ローズの方が軽い分聴きやすく、この曲の方がメッセージ性が強いため、重たい感じではありましたね。
まさに歌いこむそんな感じでの曲でしょう。
ミディアムスローの曲の歌いこなしはこの頃のピンク・レディーにはなんなくこなせており、もっとボーカルを前面に押し出して欲しいと思っていたが、わずか ではあるがそんな曲も数曲残してくれた。
 話は戻るがそもそもこの曲希望への旋律の旋律ってどんな意味だろう?って思っていました。ある言葉と勘違いしてた頃もありました。○○○○
そんなアホな(笑)うそだぴょ〜ん。ちょっと話がそれました〜。
 とまあ、ピンク・レディーでなくては歌えないそんな印象を持つ唯一の楽曲のひとつにこんな名曲もあることをもっと知ってもらいたいなあ・・
そんな想いなのであります。ハイ

南太平洋
ピンク・レディー初のオリジナルアルバムとなる「ピンク・レディーの不思 議な旅」収録のバラードナンバー

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